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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*雨の中の君*




  雨の中

    君はそこに立っていた。


 *雨の中の君*


 朝の雪が雨に変わって

 降り続ける夕方。


 校庭の真ん中に

 君は一人立っていた。

 
 

 「びしょ濡れじゃん」



 そう言って君に傘を差し伸べると

 君は辛そうに笑ったんだ。



 「たまには濡れたい時もあんの」


 ゆっくりと

 私の差し出した傘を

 突き返す。


 

 「・・・風邪ひくよ?」



 朝は雪が降ってたくらい

 まだまだ寒い冬。

 
 
 「いっそのこと風邪ひけば
    心配してくれっかな」



 辛そうに笑う君が

 なんだかきゅんときた。




 母性本能ってやつかしら。



 「俺ね、失恋しちゃったんだよね」



 黙って君を見つめる私に

 君は話しだしたんだ。



 「他にオトコいたみたいでさ」


 濡れた髪を

 かきあげながら


 「“別れて欲しい”だってさ」


 雨の中 君は


 「泣いてるの?」


 泣いていた。




 男泣きをみたのは

 初めてじゃないけど

 
 前から君のことを

 好きだったわけじゃないけど


 君の涙に

 恋をした。



 
 「だったら・・・」


 私はまた

 君に傘を差し伸べて


 「失恋しちゃったんなら
   新しい恋、探せばいいじゃん」


 君にタオルを差し出した。


 「手始めに私とか」


 ちょっとかわいこぶって

 自分を指差して

 君ににっこり微笑み掛けた。




 「失恋したら俺
    次は肺炎かかっちゃうよ?」

 
 「じゃぁ・・・別れられないね」



 君の涙が笑顔に変わって


 太陽が差し込んだ。




 ねぇ

 こんな恋も

 いいかもね。








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bbs

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